超流通用語集

http://village.infoweb.or.jp/~fwgg8583/ も参照してください.

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Last updated : 4/23/97

目次


電子的著作権管理システム(Electronic Copyright Management System)

 円滑な著作物の流通を目指す、電子的著作権管理システム(Electronic Copyright Management System)は二つのタイプに大別されます。ひとつは、権利者団体相互の権利情報交換を主な目的としたもので「コピーマート」が代表例。もうひとつは、提供者、利用者、流通業者などを含んだ著作物の取引・決済システムであり「超流通」が代表例です。
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MediaShuttle

 富士通が提供している超流通を目指したサービスです。1995年11月からパソコン通信を使って運用を開始し、1996年11月からはインターネットでも利用できるようになっています。

 MediaShuttleは、雑誌等の付録で配付されたCD-ROMに格納されている電子情報を、ネットワーク通信経由で「暗号鍵」を入手して、有料で利用するためのサービスです。

MediaShuttleのホームページ(http://mshuttle.sdnet.or.jp/)
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権利管理機構(Software Usage Monitor)
 1990年頃に発表された論文で使用された用語で、「超流通ラベルリーダ」のことです。英訳ではSoftware Usage Monitorが使用され、頭文字を連ねてSUMとも呼ばれていました。
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Sボックス(S-box)
 1990年頃に発表された論文で使用された用語で、権利管理機構(SUM)を実現する装置のことです。DES(Data Encryption Standard)で使用されている「Sボックス」とは異なります。現在は、「超流通ラベルリーダ」と呼ばれています。
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Sソフトウェア(S-software, S-program)
 1990年頃に発表された論文で使用された用語で、実行型の「超流通コンテンツ」に当たります。 英文論文では、個々のソフトウェア・プログラムを問題にするときに、「S-program」が使われました。
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Sコンピュータ(S-computer)
 1990年頃に発表された論文で使用された用語で、「超流通マシン」のことです。
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Sクレジット(S-credits)
 Sボックス(「超流通ラベルリーダ」のこと)内で有料の超流通コンテンツを実行したときの対価となる単位のことです。
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SUM(Software Usage Monitor)

 超流通ラベルリーダを参照してください。
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infoMarket

 超流通を目指したサービスの一つと考えられます。infoMarketは、インターネット上でIBM社が提供している有料のWebページ提供サービスの名称です。

 有料のサービスは他にもありますが、おおむね固定料金を支払えば、アクセスは自由というものです。11/29/96付け朝日新聞に紹介されていた「アサヒ・コム・パーフェクト」も「定額で利用できる世界初の『統合型』電子情報サービス」です。

 これに対して、infoMarketではコンテンツ単位で購入します。コンテンツ提供者は、infoMarketが提供するCryptolope(tm)を使ってコンテンツを暗号化し、登録します。ユーザは暗号化されたコンテンツを入手し、暗号を解くための鍵(Access Code)をimfoMarketから購入します。

 暗号化されたコンテンツは鍵を持つユーザしか復号できません。また、復号した結果(暗号化されていない生のコンテンツ情報)をユーザが保存することはできないので、コンテンツが他人に渡っても、受け取った人が自分の鍵を購入しないかぎり内容をみることはできません。

 ここでのinfoMarketの役割は、コンテンツ提供者とユーザの間に立つ仲買人です。ユーザはinfoMarketに登録された情報から必要なものを購入し、代金をinfoMarketへ支払います。infoMarketは支払われた料金をコンテンツ提供者へ振り込みます。この一連の取引に対してinfoMarketは手数料を取ります。お金の流れだけに着目すると、超流通システムの例の右上にある「使用記録回収ステーション」の役割を果たしているといえます。

 InfoMarketのホームページ(http://www.infomkt.ibm.com/)
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ディジタル保護容器(digitally protected module)

 超流通では、ディジタル情報の使用記録を元に料金の徴収が行われるので、この記録が不正に扱われないように保護する必要があります。

 物理的な保護容器なしでも、暗号技術を使って、使用記録を作成することはできますが、物理的な保護容器を併用すれば、安全性が高まります。電子キャッシュで検討されている分野に関連します。

 超流通では3次元ICを利用した保護容器(特願昭63-195847、米国特許番号5,103,392および5,185,717)の使用が提案されています。

 3次元ICを利用した保護容器は、強い物理的防御を持つ情報の保護容器です。暗号の鍵を知らない限り、保護容器を設計・制作した人でも情報は取り出せません。保護容器内のデータを不当に取り出そうとすると、攻撃が検出され、中の情報が消去されるようになっています。

3次元ICを利用した保護容器の構造図を表示
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超流通のためのプロトタイプI

 1986年に開発されました。PC-9801のシリアルポートにSDLRを接続し、使用記録を管理します。シリアル接続のためオーバヘッドは大きいのですが、超流通の実現の可能性を示しました。
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超流通のためのプロトタイプII

 1989年に開発されました。Macintosh (MC68020)のコプロセッサ・インタフェースを使ってSDLRを実装しています。コプロセッサ・インタフェースを使用することで、オーバヘッドは小さくなり、マルチ・タスクへの対応も可能となりました。

 また、SDLRを1チップのコプロセッサとして提供できる可能性を示したことから、1)チップの量産により低価格のSDLRが提供できること、2)既存の計算機に容易にSDLRを付加できることが示されました。すなわち、水道や電話システム等を構築したときのような巨大な初期投資は、現在のディジタル情報の流通から超流通への移行には必要ないということを示したことになります。
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ソフトウェア・サービス・システム(SSS: Software Service System)

 超流通の初期の名称です。「ソフトウェアを電気や水道のように流通させる」という考えから、Water Service System(水道)にならって造語されました。『超流通』という用語は、印刷物では、1988年2月に(社)日本電子工業振興協会のマイクロコンピュータソフトウェア基盤技術専門委員会(超流通委員会の前身)から報告された『ソフトウェア流通の問題点と対策』ではじめて使われたようです。
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超流通(Superdistribution)

 超流通とは、ディジタル情報の流通に対する新しいアプローチです。フリーウェアやシェアウェアで実現されているような、ユーザにとっての快適な環境(簡単に入手でき、無料で試用できることなど)を、有料のソフトウェア製品に対しても実現し、かつ開発元や販売元の利益を保護するものです。

 超流通では、ソフトウェアを所有することに対価を支払うのではなく、使用することに対して料金を支払います。ちょうど、家庭で電気や水道を使うとき、使用分に対してだけ料金を支払うことと同じです。

 超流通が扱うディジタル情報には、コンピュータソフトウェアだけでなく、マルチメディア素材やソフトウェア部品も含まれます。複雑なマルチメディア素材の著作権問題にも対処できます。また、ソフトウェア部品の流通を促進し、ソフトウェアの量産を可能にします。

超流通システムの一例を表示
超流通による市場例(ソフトウェアの場合)を表示
超流通による市場例(ディジタル情報一般の場合)を表示
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電子的な使用条件

 超流通が扱うディジタル情報には、電子的に添付された使用条件が必要です。たとえば、コンピュータソフトウェアで考えてみると、実行時間で課金、起動回数で課金、印刷ごとに課金、課金はしないが使用状況のみ報告、といったソフトウェアにあった条件を設定します。
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電子的な使用記録

 超流通が扱うディジタル情報をユーザが使用すると、情報に電子的に添付された使用条件に基づいて使用状況が記録されます。この使用記録を回収することによって、使用者は料金を請求され、利益は情報提供者側に分配されます。
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超流通アーキテクチャ(SdA: Superdistribution Architecture)

 超流通アーキテクチャとは、超流通を実現するための物理的手段です。電子的な使用条件をどのように実装するか、電子的な使用記録の回収・処理のメカニズムをどうするかが主要な部分となります。

 電子的な使用条件や使用記録は、変造、除去、不当追加に強い必要があります(変造されたテレフォン・カードによる被害を考えれば、その重要性はわかるでしょう)。そのため、強い防御を必要とする超流通アーキテクチャの基本構造には、ディジタル保護容器と暗号による防御機構があります。
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超流通ラベル(SDL: Superdistribution Label)

 超流通が扱うディジタル情報(超流通コンテンツ)に、電子的に添付された使用条件のことです。

 超流通ラベルには、コンテンツID、コンテンツ提供者、コンテンツの利用条件、コンテンツの説明、コンテンツ本体と超流通ラベルを論理的に不可分にするための情報が含まれます。

 コンテンツIDは、書籍のISBNのように、世界中で一意な値である必要があります。
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超流通ラベルリーダ(SDLR: Superdistribution Label Reader)

 超流通ラベルリーダ(以下、SDLR)は、超流通ラベルの情報に基づいてディジタル情報の使用状況を記録します。超流通ラベルの使用条件を満たさない場合は、情報の使用を抑止します。

 超流通コンテンツの大部分は、実行するコンピュータ本体で処理されますが、一部暗号化された情報がSDLRに送られます。SDLRは、この情報を利用できるかどうかをチェックし、利用できる場合は、使用記録を作成しはじめます。SDLRから実行制御がコンピュータ本体に戻ると、SDLRから返された情報に基づいて、情報を利用し続けるかどうかが判定されます。

 SDLRには、ユニークなSDLR IDが付けられます。また、所有者以外の勝手な使用を防ぐためのユーザ認証機能があります。これによって、使用した分の料金が、使用した本人に正しく請求されることになります。

 以前は、「SUM(Software Usage Monitor)」と呼ばれていました。
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超流通コンテンツ

 超流通コンテンツとは、超流通で処理できるように加工されたディジタル情報のことです。従来のソフトウェアやデータをコンテンツ本体とすると、超流通コンテンツは、コンテンツ本体に超流通ラベルを付加したものです。コンテンツ本体と超流通ラベルは論理的に不可分である必要があります。

 超流通コンテンツには、アプリケーションプログラムやソフトウェア部品などの実行型コンテンツと、テキスト、画像、音声などの参照型コンテンツとかあります。

 以前「Sソフトウェア」と呼ばれていたものは、実行型の超流通コンテンツに当たります。
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SCDK (Superdistributable Contents Developer's Kit)

 超流通コンテンツの開発を行うためのツール群。開発されたアプリケーションやデータを、SCDKを使って、超流通マシンで利用できる(使用状況が回収できる)超流通コンテンツにすることができます。
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超流通マシン

 既存のコンピュータにSDLRを付加したものです。超流通コンテンツについては、その超流通ラベルに記述された条件に応じて使用記録を作成しますが、既存のプログラムも動かすことができます。

 以前は、「Sコンピュータ」と呼ばれていました。
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